権限委譲と小学生のおつかい

権限委譲というか、仕事を任せるのってとかく難しい。
なかなか任せきれないし仕事はどんどん増えるしで、今みたいな年末とか忙しい時期はもうたいへん。

まかせてはいるのだけれど、仕事の量が多すぎたりして、零細企業だと

「ちょっと社長、これお願いします」
とか
「社長、これだけお客様のところに納品してください」
とか
「係長!この見積もりだけお願いします!」
というようなことはよくある。

社長が部長でも課長でもまぁ、だれでもいいです。

とにかく権限を委譲されている部下の仕事がいっぱいいっぱいだったり、業務フローが溢れちゃったりするのは、人数が有限だし、年がら年中忙しいわけではないので、そういう時期もあるということですな。

そんなときに自分があえてやるのは

「小学生のおつかい」なみのことしかしない。ということです。

「コピーしておいてください」と言われたらコピーするだけ。

綴るとか製本するとかソートするとかいっさい気が利いたことはしない。

理由は「自分で気がついてほしい」からです。

あと、権限を委譲している以上、現場仕事のやり方であるとか進め方は本人が一番わかっているはずです。

イレギュラーに仕事を振られた自分(ここでは上司)が「ん?なんかへんだな?」と思ってもあえてそこは聞かずに我慢する。

(もちろん、お客様に迷惑がかかったり、取り戻せないような失敗に繋がりそうなときは除く)

結果として

「課長、なんでこうしてくれなかったんだろう」

「部長、もっと気を利かせてくれてもいいのに。」

なんてことになったりするのですが、それはそのまんま自分の仕事にフィードバックさせてもらえると嬉しいし、

できるだけ自分で気がついてほしいと思うのです。

「頼み方がいけなかったな」とか「もっと具体的に伝えておくべきだったな」とか
いつか自分が教える立場になるときのための練習というか経験を積んでもらえるとありがたいわけですよ。

権限を委譲している以上、立場上上に立つものは、なんかお願い事をされたときには「小学生のおつかい」以上のことをしたらアカンと思うのですよ。

そりゃあ、上司ですから、こうしほうがいいだの、あーしたほうがいいだの、アレやコレや、いろいろ言いたくもなるわけですよ。

いわなくても、これもしておこうとか、あれもやっておくといいな、とか先回り的なことをついついしてしまうわけです。

でも、言ってしまうとね、権限委譲なんてのは結局いつまでたっても出来ない。

やってみせるのは権限委譲する前にやることで、山本五十六さんがいうところの

「やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」

は上司と部下の関係であって、

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」

ときて、

「うむ、彼も育ったなぁ、そろそろ仕事を任せてみるか!」と権限委譲したあとは

「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

としめているわけですよ。

現場のことは現場に任せる。

そんなわけで今日も小学生のおつかいをするわけです。